卒業設計や設計課題の終盤になると、「敷地模型(コンター模型)をどう作ればいいのか分からない」という声が一気に増えます。
傾斜地や川沿い、丘陵地の敷地では、地形の高低差を表現できるかどうかで模型の説得力が大きく変わります。
この記事では、建築模型の敷地模型をスチレンボードで作る手順を、縮尺と等高線間隔の決め方から仕上げのコツまで順番に解説します。
敷地模型(コンター模型)とは
コンター模型とは、地形図の等高線(コンターライン)に沿って板材を切り抜き、何層にも積み重ねて地形の起伏を表現する模型のことです。
建物単体の模型だけでは伝わりにくい「敷地の高低差」や「周辺環境との関係」を一目で伝えられるのが最大のメリットです。
特に卒業設計の講評では、建物がなぜその形になったのかを敷地の文脈から説明できると評価につながりやすくなります。
縮尺と等高線間隔の決め方
縮尺は1/500と1/1000を使い分ける
敷地模型の縮尺は、何を見せたいかによって決めるのが基本です。
街全体や地形の大きな流れを見せたいなら1/1000、敷地と周辺建物の関係を見せたいなら1/500がよく使われます。
建物そのものの内部空間を見せる模型は1/100や1/200で別に作り、敷地模型と役割を分けると全体の構成が分かりやすくなります。
| 縮尺 | 向いている用途 | 注意点 |
|---|---|---|
| 1/1000 | 街区・地形全体の流れを見せる | 建物は単純なボリュームで表現する |
| 1/500 | 敷地と周辺建物・道路の関係を見せる | 模型の範囲が広すぎると制作量が膨らむ |
| 1/200〜1/100 | 建物と敷地の接し方(擁壁・階段など)を見せる | 敷地全体ではなく部分模型にすることが多い |
等高線の間隔はボードの厚みから逆算する
コンター模型で最も悩むのが、1層あたり何mの高低差にするかという点です。
答えはシンプルで、使うスチレンボードの厚みと縮尺から逆算します。
たとえば1/500で厚さ2mmのボードを使えば、1層は実寸で1mの高低差になります。
1/1000で同じ2mmのボードなら、1層あたり2mの高低差を表現できる計算です。
| ボード厚 | 1/500での1層の高さ | 1/1000での1層の高さ |
|---|---|---|
| 1mm | 0.5m | 1m |
| 2mm | 1m | 2m |
| 3mm | 1.5m | 3m |
| 5mm | 2.5m | 5m |
高低差が大きい敷地で薄いボードを選ぶと、層の数が増えて作業時間が一気に膨らみます。
逆に厚すぎるボードでは段差が粗くなるので、敷地の高低差と締め切りまでの時間を見ながら厚みを決めましょう。
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スチレンボードでコンター模型を作る手順
1. 地形図を用意して範囲を決める
まずは敷地周辺の地形図を用意し、模型にする範囲と縮尺を決めます。
国土地理院の地理院地図では等高線入りの地図を確認できるので、大学で配布された地形図と合わせて参考にするとよいでしょう。
2. ベース(土台)を作る
次に、模型全体を支えるベースを作ります。
発泡スチロール系の板(スタイロフォーム)をボードで挟み、側面をケント紙などで覆うと、軽くて反りにくい土台になります。
3. 地形図を貼って等高線ごとに切り抜く
地形図をコピーしてスチレンボードに仮止めし、等高線に沿ってカッターで切り抜きます。
地形図を3枚ほどコピーし、1本おきの等高線をそれぞれ別の板から切り出すと、ボードを効率よく使えるという方法もあります。
切り抜いたパーツには、標高や位置が分かるように裏面へ番号を書いておくと積層の際に迷いません。
4. 下から順に積み重ねて接着する
低い層から順番に、位置合わせをしながら接着していきます。
スチレンボード用のりは乾くまでに時間がかかるため、少量ずつ塗ってずれないように押さえるのがコツです。
5. 建物・道路・樹木を配置する
地形ができたら、周辺建物のボリュームや道路、樹木などの添景を配置して完成です。
提案する建物だけ素材や色を変えると、周辺との違いがはっきり伝わります。
仕上がりに差がつくコツ
等高線の段差をあえて見せる表現は、地形の情報がそのまま伝わるため建築模型らしい仕上がりになります。
一方で、なだらかな地形として見せたい場合は、段差の上にガーゼを貼ってジェッソなどの塗料で整える方法もあります。
色数を抑えて白やグレーでまとめると、提案する建物が際立ちやすくなります。
また、カッターの刃はこまめに折って交換すると、曲線の切り口がきれいに仕上がります。
よくある質問
Q. コンター模型は1/500と1/1000のどちらで作るべきですか?
A. 敷地と周辺建物との関係を見せたいなら1/500、地形全体の流れを見せたいなら1/1000が目安です。
大学の課題で指定がある場合は、その指示を優先してください。
Q. スチレンボードは何mmを選べばいいですか?
A. 敷地の高低差と縮尺から逆算して決めます。
1/500で2mmのボードなら1層が実寸1mになるので、まずはこの組み合わせを基準に検討すると決めやすくなります。
Q. 等高線を切る作業を効率化する方法はありますか?
A. レーザーカッターが使える環境なら、地形データから切り出す方法もあります。
手作業の場合は、パーツに番号を振ってから切り始めるだけでも作業ミスを大きく減らせます。


