卒業設計が本格化する秋から冬にかけて、多くの学生が悩むのが「スタディ模型をどう作ればいいか」という点です。
プレゼン模型と違い、スタディ模型は考えるための道具です。
この記事では、卒業設計で使えるスタディ模型の縮尺の決め方、材料、案を比較しながら進めるコツを順番に解説します。
スタディ模型とプレゼン模型の違い
建築模型は大きく、設計を検討するためのスタディ模型と、完成イメージを伝えるためのプレゼン模型に分けられます。
スタディ模型は、検討したい部分が最低限わかれば十分で、細部まで作り込む必要はありません。
敷地の一部やボリュームだけの模型でも、目的が果たせていれば立派なスタディ模型です。
大切なのは「何を確かめたいのか」を決めてから作り始めることです。
| 項目 | スタディ模型 | プレゼン模型 |
|---|---|---|
| 目的 | 形・配置・空間構成を検討する | 完成した案を伝える |
| 作り込み | 最低限でよい | 仕上げや添景まで丁寧に |
| 数 | 何個も作って比較する | 基本的に1つ |
| 素材 | 安く切りやすいもの | 仕上げ表現に合った素材 |
目的別の縮尺の決め方
スタディ模型の縮尺は、検討したい内容によって変えるのが基本です。
一般的な目安を下の表にまとめました。
大学の課題や研究室で縮尺が指定されている場合は、そちらを優先してください。
| 縮尺の目安 | 主に検討する内容 |
|---|---|
| 1/500〜1/1000 | 周辺環境との関係、配置計画、街並みとのボリューム比較 |
| 1/200〜1/300 | 建物全体の形、アプローチ、外部空間とのつながり |
| 1/100 | 平面と断面の関係、吹抜けや動線、ゾーニング |
| 1/50〜1/30 | 部分の空間の質、開口部と光の入り方、ディテール |
最初から大きな縮尺で作ると、時間も材料も多くかかります。
小さな縮尺で配置や全体像を固め、決まった部分だけを大きな縮尺で掘り下げる流れにすると効率的です。
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スタディ模型に向いている材料と道具
スタディ模型では、安価で切りやすく、何度も作り直せる素材を選ぶのがポイントです。
代表的な材料は次のとおりです。
- スチレンペーパー:軽くて切りやすく、ボリューム検討の定番素材
- スチレンボード(紙張り):面がきれいで、壁や床の検討に向く
- ケント紙・厚紙:曲面や薄い屋根、開口部の検討に便利
- バルサ材・ヒノキ棒:柱や構造の表現を確かめたいときに使う
- コルクシート・段ボール:敷地の高低差を手早く表現できる
道具はカッター、カッターマット、金属定規、スチのりなどの接着剤があれば始められます。
スチレン系の素材には、素材を溶かしにくい専用の接着剤を使うと反りや剥がれを防げます。
案を比較しながら進める作り方の手順
手順1:敷地模型を先に作る
まずは敷地と周辺建物を簡単に作り、土台として固定します。
高低差がある敷地なら、等高線ごとに板を重ねるコンター模型にすると、地形と建物の関係がつかみやすくなります。
手順2:ボリュームは取り外せるようにする
建物のボリュームは敷地に接着せず、置くだけ、またはピンで留める程度にしておきます。
こうすると、配置や向きを入れ替えながら何案も比較できます。
手順3:案ごとに番号を付けて写真を残す
作った模型には案の番号や日付を付けて、同じ角度から写真を撮っておきます。
エスキスチェックで先生に見せるときや、最終プレゼンで設計のプロセスを説明するときに役立ちます。
手順4:決まった部分だけ縮尺を上げる
全体の構成が固まったら、重要な空間だけを1/100や1/50で作り直します。
光の入り方を確かめたい場合は、スマートフォンのライトを当てて写真を撮ると、空間の印象を確認しやすくなります。
卒業設計でスタディ模型を作るときの注意点
スタディ模型にこだわりすぎて、きれいに作ることが目的になってしまう失敗はよくあります。
スタディの段階では、精度よりもスピードと数を優先しましょう。
また、提出直前はプレゼン模型や図面の作業が集中します。
スタディは早めに切り上げ、プレゼン模型の制作期間を逆算して確保しておくことが大切です。
よくある質問
Q. スタディ模型は何個くらい作ればいいですか?
決まった数はありません。
配置検討の段階では小さなボリューム模型を数多く作り、案が絞れてきたら大きめの縮尺で作り込むのが一般的な進め方です。
Q. スタディ模型も白で統一したほうがいいですか?
白い素材は形や光の陰影が見えやすいため、スタディ模型によく使われます。
ただし、既存の建物と新しい部分を色で分けるなど、検討内容が伝わりやすくなるなら色を使っても問題ありません。
Q. スタディ模型はレーザーカッターや3Dプリンターで作ってもいいですか?
使える環境があれば有効です。
ただし、データ作成や出力の待ち時間がかかるため、素早く何案も試したい初期段階では手作業のほうが早い場合もあります。


